AWS障害から学ぶ!クラウド時代の事業継続リスクと対策 〜もしもの時に事業を守るために〜

更新日:2025年12月3日 / 木村

いよいよ年の瀬も近づき、年末の準備や来年の計画に追われる時期かと存じます。 さて、先日、世界的に利用されているクラウドサービスであるAWSで発生した大規模障害は、多くの企業活動に深刻な影響を与えました。Webサイトへのアクセス不能、基幹システムの停止、データへのアクセス遅延など、その影響は数時間から丸一日以上に及び、事業継続の根幹を揺るがしかねない事態となりました。

本日は、このAWS障害の事例から、クラウドを利用されている皆様が「もしもの時」に事業を継続していくために、どのような準備が必要か、最新の視点も交えて解説いたします。

AWS障害から学ぶ3つの重要ポイント

この出来事は、クラウドインフラに事業を依存している企業にとって、事業継続計画(BCP)の重要性を改めて浮き彫りにしました。特に、Webサイト、顧客管理、受発注システムなどをクラウドで運用している場合、障害発生は直接的な売上機会の損失、顧客信用の低下、そして復旧までの業務停止につながります。迅速な復旧はもちろん、そもそも障害発生時でも事業を継続、あるいは早期に復旧させるための準備が不可欠です。

そこで、AWS障害の事例から、特に中小企業の皆様に意識していただきたい3つのポイントを挙げさせていただきます。

  1. 事業継続計画(BCP)の再点検 「クラウドが止まったら、どうなる?」という具体的なシナリオを想定し、事業の停止時間を最小限に抑えるための計画を策定・見直しましょう。例えば、緊急時に電話やFAX、あるいはオフラインで最低限の対応ができる業務プロセスを準備しておくことが考えられます。
  2. リスク分散の視点 単一のクラウドベンダーやサービスに過度に依存することのリスクを理解することが重要です。貴社では、重要なデータは複数の場所にバックアップされていますでしょうか?また、万が一利用中のクラウドサービスが停止した場合に、最低限の業務を継続できる代替手段(例:オフラインでのデータ管理、代替通信手段の確保など)は準備されていますでしょうか。
  3. 緊急時の情報共有と対応体制 障害発生時、社内外への迅速かつ正確な情報伝達は、混乱を防ぎ、顧客や取引先からの信頼を維持するために不可欠です。誰が、いつ、どのように情報を発信・共有するのか、担当者と連絡フローを明確にしておくことが重要です。

よくあるご質問(Q&A)

Q.「うちのような中小企業でも、AWSのような大規模障害は他人事ですか?」

A. いえ、決して他人事ではありません。クラウドサービスは、規模の大小に関わらず現代のビジネスに不可欠なインフラです。障害発生時には、貴社の事業運営に直接的な影響が出る可能性が十分にあります。例えば、ECサイトの停止、予約システムの不具合、社内システムの利用不可などは、売上機会の損失や顧客満足度の低下に直結します。

Q.「事業を守るために、具体的に何をすれば良いでしょうか?」

A. まずは、貴社の事業活動において、どのクラウドサービスが、どの程度重要か、そしてそのサービスが停止した場合にどのような影響があるかを具体的に洗い出すことから始めましょう。その上で、データのバックアップ体制の強化、代替手段の検討、緊急時の社内外への連絡体制の整備などが考えられます。

今日からできるアクションプラン

これらの対策は、貴社の事業の安定稼働とさらなる成長のために非常に重要です。まずは、以下の3つのステップから着手してみてはいかがでしょうか。

  1. リスクの棚卸し: 貴社の事業で利用しているクラウドサービスとその依存度、停止時の影響度をリストアップしましょう。
  2. バックアップ体制の確認・強化: 重要なデータは、定期的に、かつ確実にバックアップできているか確認し、必要であれば強化しましょう。
  3. 代替手段の検討: 障害発生時でも最低限業務を遂行できる代替手段(例:オフラインでのデータ閲覧、電話・FAXなどの代替通信手段)を検討し、準備しておきましょう。